お子さんに肺炎球菌やHibワクチンの接種を受けられた方、あるいはこれから受けようとしている方もいるかと思います。肺炎球菌、インフルエンザ菌は、急性中耳炎の原因菌で最も多い菌でもあります。予防接種と中耳炎について述べてみたいと思います。
肺炎球菌
特に髄膜炎になると生命にかかわる重篤な状態になったり難聴、発達遅滞、四肢麻痺、てんかんなどの後遺症を残すことがあると言われています。
肺炎球菌のワクチンはこれらの重篤な合併症のリスクを下げるだけでなく、小児急性中耳炎の発症を抑えると言われていますので積極的に肺炎球菌の予防接種をお勧めしています。
一方、Hib(ヒブ)ワクチンというヘモフィルスインフルエンザ菌b型に対する予防接種があります。
ヘモフィルスインフルエンザ菌b型も主に5歳未満の子供に敗血症、髄膜炎、急性喉頭蓋炎、化膿性関節炎といった重篤な病気を引き起こす菌で、肺炎球菌と同様、髄膜炎になると後遺症を残す可能性があることから、予防接種が推奨されています。
しかし
ヘモフィルスインフルエンザ菌b型は、莢膜という構造を持つ菌ですので、中耳炎を引き起こす菌とは別物と考えられています。
小児の感染症に対して、肺炎球菌ワクチン、Hibワクチンが出てきて従来の重篤な感染症が減ってきています。一方で、急性中耳炎も含めて無莢膜型インフルエンザ菌(NTHi)はなくなるどころか、耐性菌が増加してきており、ますます問題になってきています。
(本HPの冒頭の反復性中耳炎で述べている、インフルエンザ菌のBLNAR、BLPARという菌も、無莢膜型インフルエンザ菌の一種です)
以上からまとめますと、予防接種の中耳炎の予防について、肺炎球菌ワクチンは一定の効果がありますが、Hibワクチンの効果は乏しいと言えます。
体力の低下に伴ういろいろな病気に対して、その体力を補うための治療として十全大補湯、補中益気湯、人参養栄湯などの漢方薬があります。これらは基礎研究や臨床研究で免疫の活性化、栄養状態の改善、感染症に対する有効性が報告されています。
具体的には慢性閉塞性肺疾患(COPD)の患者さんに対する、補中益気湯の投与による感冒罹患回数の低下、あるいは乳児の肛門周囲膿瘍に対する、十全大補湯の有効性が報告されています。
耳鼻科領域においても漢方薬はよく使われます。アレルギー性鼻炎に小青竜湯や葛根湯加川きゅう辛夷など、メニエール病に五苓散や柴苓湯など、他にもたくさんあります。
そのなかで、
反復性中耳炎は、別に述べたとおり、抗生剤の耐性化などの外因的な背景に加えて、集団保育、2歳未満という免疫が未発達の段階で起こりやすいことがわかっており、病気の内因的な原因となる生体側の免疫や抵抗力の低下、体質の改善を図ることを目的として投与され、感染症、中耳炎に対する効果が報告されてます。