滲出性中耳炎のところで、癒着性中耳炎に移行しそうな時はチュービングを検討すると説明しましたが、その癒着性中耳炎について説明します。
主に滲出性中耳炎が原因で中耳に慢性的に陰圧がかかり、鼓膜が中耳に落ち込んで中耳の奥の壁に癒着していしまうことが原因です。
癒着の程度や期間によって治療方針が異なります。
滲出性中耳炎の経過中に
同時に中耳の陰圧をできるだけ解除するように
癒着が長期間に及ぶと通気や鼓膜チューブ留置では鼓膜が戻らない状態となり、また耳小骨の可動性がなくなったり破壊されたりするので、
さらに長期におよぶと鼓膜の癒着や耳小骨の可動性の低下だけでなく、内耳にも炎症が波及して感音難聴という神経のダメージを伴う難聴も出てきます。こうなってしまうと聴力の改善は困難となります。
滲出性中耳炎から移行していくことが多いので、滲出性中耳炎の経過をしっかり観察することが大切です。
滲出性中耳炎自体は自然治癒することも多く、癒着性中耳炎に移行するケースは非常に少ないですが、癒着を起こしてしまい放置すると治癒が難しくなることもあるので、滲出性中耳炎と診断されたら、症状があまりなくても放置せずに定期的に鼓膜を観察していくことが大切です。